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オリンピックとスポーツ競技の計時

1896年にアテネで開催された近代オリンピック史で最初の100メートル走は、アメリカのトーマス・バーク氏が優勝しました。彼から0.2秒遅れて、2着でゴールしたのがドイツのフリッツ・ホフマン氏でした。誰もが、5分の1秒単位の計時精度では、もはや十分に正確とは言えないことが分かりました。

しかし、100分の1秒を計測するための開発は遅れ、技術革新とそれに対する公的規制の繰り返しによる障害が立ちはだかりました。1916年、100分の1秒単位の精度を有する最初の機械式スポーツ用計測器が考案されました。しかし、1932年までオリンピックの公式記録は、5分の1秒単位で記録され続けました。それは、勝者を決定するのは人間の目でなければならないと考えていた国際アマチュア陸上競技連盟が100分の1秒単位の正確な計測結果の検証を認めなかったからです。

それにもかかわらず、可能な限り高い精度で勝者の競技成績を計測しようとする時計メーカー間の競争は、激しさを増していきました。計時担当者が計測器をスタートさせる時に起こる手動による誤差を改善するために、“カット・スレッド”システムが1912年に開発されました。選手がスタートラインを越える際にきつく張った糸を切ることで電気信号が発生し、それにより電磁制御機能が装備されたストップウォッチが作動するというものでした。しかし、その後、数十年にわたり、この独創的なシステムは人の手により計測するストップウォッチに代わることはありませんでした。

1932年のロサンゼルスオリンピックで、初めてゴールラインのカメラ映像とともに100分の1秒単位の精度を有するストップウォッチが登場しました。いっぽう、ゴール写真判定システムは、1949年に登場するものの、1968年のメキシコオリンピックまで公式認定されませんでした。

20世紀の後半になって、水晶振動子(クォーツ)の振動を利用して時計を動かす技術の開発により、計時の更なる進化が見られました。今では、1万分の1秒単位の精度を有する電子計測システムが存在します。